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効果的な腸内ケアとして大注目の 「シンバイオティクス」

2017.01.19

新しい腸内ケア「シンバイオティクス」

プロバイオティクスとプレバイオティクスという言葉、聞いたことはありますか?どちらも腸のなかで働くものですが、その性質も働きもまったく異なります。そして、その両方を合わせた「シンバイオティクス」が、新しい腸内ケアとして注目されています。3つの最新キーワードを紐解いていきましょう。

「生きた菌」と「栄養になる成分」

プロバイオティクスという言葉、最近よく耳にするという人は多いのではないでしょうか。プロバイオティクス(probiotics)とは、腸内フローラのバランスを改善する作用がある生きた微生物のこと。「適正な量を摂取したときに有用な効果をもたらす生きた微生物」と定義されていて、良い菌を増やすことで体を守るという考え方から生まれました。そして、このプロバイオティクスの働きを腸内で助けるのが、プレバイオティクス(prebiotics)。つまり、「プロ」は腸内で良い働きをする菌のことで、「プレ」はその菌の働きを助ける食品成分というわけです。

生きて腸まで届いて働く、善玉菌=プロバイオティクス

プロバイオティクスの代表格といえば、乳酸菌やビフィズス菌。とはいえ、すべての乳酸菌やビフィズス菌がプロバイオティクスではありません。胃酸や胆汁酸などに消化されずに腸まで届く、腸内で増殖できる、腸内フローラのバランスを改善して腸のなかの腐敗物質を減らす効果がある、安全性が高い……、などの条件があり、これらをクリアした菌だけがプロバイオティクスと名乗れるのです。

植物性の乳酸菌からつくられた味噌、キムチ、漬け物や、納豆菌からつくられる納豆などの発酵食品もプロバイオティクス食品。漬け物に含まれるラクトバチルス・プランタラム菌やラクトバチルス・ブレビス菌、ヨーグルトなどに含まれるラクトバチルス・カゼイ菌、ラクトバチルス・ガセリ菌など、さまざまな菌種があります。科学的に効果が証明されているのは特定の菌に限られるので、菌を確認したり、ヨーグルトならトクホ商品を選ぶなど工夫が必要です。

そして、プロバイオティクスには、下痢や便秘を抑えたり、腸内の善玉菌を増やして悪玉菌を減らす、腸内環境を改善する、免疫力を高める、アレルギーを抑制するなどさまざまな健康効果が報告されています。

善玉菌の栄養になる、プレバイオティクス

一方、プレバイオティクスとして、現在、認められているのは、オリゴ糖や一部の食物繊維(難消化性デキストリン、ポリデキストロースやイヌリン)。オリゴ糖は、食事からもとれますが、定期的な摂取にはオリゴ糖入りの食品やサプリメントなどで補うのがおすすめ。難消化性デキストリンとポリデキストロースは、とうもろこしからつくられた食物繊維。イヌリンはごぼうやキクイモに含まれる水溶性の食物繊維で、善玉菌を増やす働きがあることがわかっています。

プレバイオティクスは、胃や小腸、十二指腸などで分解や吸収されずに、大腸に棲んでいる腸内細菌の善玉菌(ビフィズス菌など)のエサとなって菌が増えるのを助け、腸内フローラのバランスを維持したり改善する働きなどがあります。

プレバイオティクスをとることで、乳酸菌やビフィズス菌が増えたり、整腸作用で便通が改善したり、ミネラルの吸収が促進されたりするなどの作用があり、アレルギー抑制や、大腸がんの予防にも効果を発揮するという報告もあります。

毎日のシンバイオティクスで効果的に腸内ケア

腸内で良い働きをする菌と、その菌の栄養源となって働きを助ける成分。ならば、両方を一緒にとればより健康効果が高まるはず!まさに、その考えから生まれたのが、シンバイオティクス(synbiotics)です。プロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒にとること、またはその両方を含む食品やサプリメントをシンバイオティクスといい、効果的な腸内ケアとして注目されています。

外部から善玉菌をとり込んで、さらにその善玉菌の栄養分(エサ)を一緒に与えるシンバイオティクスなら、善玉菌の増殖が促されて、短期間で腸内の善玉菌を増やせる可能性があります。たとえば、乳酸菌+オリゴ糖、ビフィズス菌+イヌリンなどの食物繊維、という組み合わせで食事からとるのもいいですが、複数のビフィズス菌や乳酸菌+オリゴ糖や食物繊維を効率良く組み合わせたサプリメントなども開発され、販売されています。

シンバイオティクス効果で、腸内の善玉菌が効率良く増えるとはいえ、増えた善玉菌は腸に棲み続けるワケではありません。腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスは、食生活やストレスなどで簡単に崩れてしまいます。腸内フローラをいつも良好な環境に保つためには、毎日、「シンバイオティクス」をとり続けることがとても重要なのです。