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体質も変える?老化や病気にも関わる? 腸内フローラが重要なワケ

2017.01.19

腸内フローラ=菌のお花畑

腸内フローラという言葉、最近良く耳にしませんか?フローラ(Flora)は、お花畑の意味で、腸の中を顕微鏡で覗くと、生息している細菌たちがまるで植物が群生するお花畑のように見えることからそう呼ばれています。腸内細菌の全体像を表す言葉で、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)ともいわれます。今回は、腸内フローラについてのお話です。

重さにして1.5kg?

小腸や大腸は消化管という管ですよね。目には見えない小さな細菌たちがどこにいるのかというと、管の内側、腸の粘膜の表面に多種多様な細菌がびっしりと生息しているといいます。その数は、少し前まで100兆個ほどとされていましたが、いまでは、500~1000兆個、種類は500~1000種類、重さにして1~1.5kgともいわれています。近年、便から細菌の遺伝子を解析する方法が確立され、新しい菌が次々と見つかっているのです。

善玉菌と悪玉菌はなにをしている?

腸内細菌が、お通じを良くしたり、ダイエットや美肌など私たちの健康に大きく関わっていることはご存知ですよね。腸内細菌には、乳酸菌やビフィズス菌などの「善玉菌」と、ウェルシュ菌やブドウ球菌などの「悪玉菌」があり、悪玉菌より善玉菌が多いのが良い環境とされています。

そもそも、腸内細菌は腸へと進んできた消化物を食べて排泄物を出し、その排泄物を別の菌が食べることをくり返しています。その過程で、腸の動きを促進したり、ビタミンB群やKなどのビタミンをつくったり、外敵菌の侵入を抑えるなど体に良い働きをする菌もあれば、腸の内容物を腐敗させて有害物質をつくるなど体に良くない働きをする菌もあります。その働きにより、「善玉菌」と「悪玉菌」に分かれているというわけです。

さらに、状況に応じてどちらにもなれる「日和見菌」を含めて3つのタイプがあり、腸内細菌の理想的なバランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7といわれています。悪玉菌が増えると、日和見菌も悪玉菌に変わり、腸内環境の悪化が加速。日々の食生活やストレス、加齢などの影響で菌バランスは崩れやすいこともわかっています。ちなみに、便の約半分は腸内細菌とその死骸といわれていて、菌バランスが変化したりするのは、意外と簡単かもしれません。

太りやすいのは、私の腸内フローラのせい?

そして、今、なぜ腸内フローラに注目が集まっているのかというと、腸内フローラを構成する菌の種類や数などの「菌バランス」が、免疫や代謝などの体の機能に大きく関わっていることがわかってきたから。腸内フローラは、手相のようにひとりひとり異なります。たとえば、肥満の人にはある特定の菌が多いことがわかってきて、肥満は腸内細菌に左右される可能性があるというのです。

それだけでなく、腸内フローラはアレルギー、神経系の病気、糖尿病や大腸がん、動脈硬化などとも深い関わりがあることがわかってきています。脳の機能に影響を及ぼすとも言われています。腸内環境を整えることは、単にお通じを良くするためではなく、体質改善や病気予防に役立つと考えられているのです。最近では、腸内細菌検査が受けられる機関も増えています。

年齢を重ねるほど、善玉菌が減少。乳酸菌やビフィズス菌は、日々補給

また、加齢とともに善玉菌が減少することもわかってきました。以前から、加齢とともに善玉菌が減り、悪玉菌が増えると推測されてきましたが、やはりそうだったというわけです。年齢を重ねるほど、腸内環境を意識する必要がありそうです。

腸内フローラのバランスを整えるのには、善玉菌を増やす食事を心がけるのがおすすめ。乳酸菌やビフィズス菌が含まれるヨーグルト、納豆や漬け物などの発酵食品を毎日の食事にプラスするだけで、手軽に善玉菌を補給できます。

また、善玉菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖も効果的。食物繊維が豊富な野菜や海草類などを積極的に食事にとり入れたり、オリゴ糖を多く含む豆類やバナナなどの食品を意識して。腸内フローラのバランスの乱れは、便秘や下痢を引き起こすだけでなく、病気や老化の要因!肥満や病気予防のためにも腸内環境を良い状態に保ちましょう。